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住職の日記

お寺で結婚式?ひそかに人気の「仏前式」とは

みなさんは、結婚式といえばどんな場所を想い浮かべますか?

結婚式場やホテルには、チャペルや神殿(じんでん)が隣接している会場も多いので、教会や神社が多いのではないでしょうか。

教会式や神前式に比べると、認知度はずっと低いのですが、お寺でも結婚式ができるのをご存知ですか?

お寺の本堂で、挙げる結婚式を「仏前式」と呼び、お坊さんが結婚式をする場合はお寺の本堂で仏前式を行います。(披露宴はホテルなどの別場所で行う場合もあります)

しかし、お坊さんではない一般の方でも「仏前式」が選ぶかたが、ひそかに増えているそうです。

6月と言えば「ジューンブライド」というわけで、今回はお寺で挙げる結婚式についてご紹介していきます。

仏前式が注目される理由

一般的に「仏前式」の知名度は低いものです。しかし、神社で行う「神前式」も明治33年に当時の皇太子殿下(のちの大正天皇)のご婚儀の様子が広まり定着したといわれています。

日本で教会式が広がったのは1980年代。ダイアナ妃のロイヤルウェディングが「教会式」への憧れが高まったのがきっかけでした。

こうして見てみると、挙式+披露宴を行うようになったのはさほど長い歴史ではないといえます。

どちらも、一般の方に広まったきっかけはロイヤルウェディングでした。
公に取り上げられる機会が少ない、仏前式はもともと仏教関連者以外にはあまり知られていませんでした。

しかし、昨今では寺社でのブライダルを手掛ける会社も増えたこともあり、一般的の方でも仏前式を選びやすい環境が整ってきました。

では、なぜマイナーだったはずの仏前式が注目を集めるようになったのか?
その理由について考えてみましょう。

 重要文化財や世界文化遺産で結婚式ができる

仏前式ができるお寺の中には、重要文化財や世界文化遺産に登録されているお寺もあります。ふだんは一般の方が入れない本堂で、結婚式をあげられます。歴史好きの方にとっては貴重な体験になります。国際結婚のカップルが、日本での挙式スタイルに仏前式を選ぶこともあるそうです。

 和装とお寺のロケーションの相性がいい

若い世代を中心に、日本らしい和装の花嫁衣裳への憧れも高まっています。くわえて、「タキシードよりは、羽織袴の方がいい」という新郎も多いので、和装でブライダル写真を撮影するカップルが増えています。

和装の場合には、近代的なホテルよりも歴史のある日本的な建物の方がロケーションとして相性がよいでしょう。歴史のあるお寺は、建物自体はもちろん、参道や庭も風情があります。

よくあるウェディングフォトとは一味違う写真が撮影できることも人気の理由のひとつです。

 参拝客に祝福してもらえる

仏前式は、本堂で行われます。一般の参拝客の見守る中挙式が行われます。参拝客にはとくに挙式が行われることは伝えられませんが、思わぬ花婿と花嫁の登場に祝福のことばをかけてくれる方が多くいます。見ず知らずの方にも祝福してもらえるのは、新郎新婦やそのご家族にとってもうれしいことでしょう。

 意外にも費用は控えめ

お寺での結婚式は、挙式費用のみです。衣装代や写真撮影の費用は別途必要ですが、たくさんの人を集めて開く結婚式会場に比べれば費用は控えめです。披露宴を行わずに2人の記念に結婚式だけでも…、プラスして両家の家族で食事だけでも…とお考えの方にはぴったりかもしれません。

お寺にもよりますが、住職さんだけでなく2~4名ほどの僧侶もお手伝いとして式に参列します。お葬式とは違いますので、仏前式で僧侶を呼んでもお布施の費用も控えめです。

私自身も、仏前式がひそかに人気があるとは知りませんでした。

お寺の関係者のみなのかと思っていたのですが、意外にも若いカップルに人気と聞き驚きました。

仏前式といっても、あまり宗派などにはとらわれず場所で選ぶ方が多いようです。

宗教者としては「それでいいのかな?」と思わないでもありません。
しかし、教会式を行うカップルがすべてキリスト教徒ではないことを考えると、結婚式のスタイルのひとつとして捉えることもできます。

 仏前式の挙式の流れ

あまり、参加した人は多くない「仏前式」の挙式の流れとはどういったものでしょうか?

キリスト教の結婚式の場合、新郎新婦が神であるキリストに対して愛を誓いますが、仏前式ではだれになにを誓うのか?ということも気になりますよね。

ここでは、仏前式の挙式の流れについて簡単に説明しましょう。

 1.入堂

本堂に新郎新婦が入堂します。このとき、式を取り仕切る戒師を務める僧侶が二人を先導します。

新郎新婦のあとには、読経をする僧侶が続きます。

 2.三礼(さんらい)

戒師は礼盤に登り三礼します。ご本尊、ご先祖、参列の親族に向かい式が始まることを伝えます。

 3.勧請·啓白ならびに授懺悔文

仏様の来臨を願い、自分の今まで犯してきた悪い行いや過ちを悔いて改める事を述べます。

 4.誓盃の儀(せいはいのぎ)

神式の三々九度にあたる、小中大の盃で計3回盃をおさめます。

 5.指輪交換・念珠授与

希望者は指輪交換をして、その後念珠(数珠)をお互いの合掌にさずけます。

 6.聖句授与(せいくじゅよ)

戒師から新郎新婦に、聖句が授与されます

 7.証明授与

証明を戒師より授かります。授かった証明は新郎のたもとに入れます。

 8.宣誓

新郎新婦が宣誓文を読み上げます。一般的な挙式の「誓いのことば」にあたります。

 9.新郎新婦献香

新郎、新婦の順で焼香を行います。仏様、ご先祖様に結婚したことを報告します。

 10.法楽

戒師より祝辞をいただきます。

 11.退堂

戒師の先導で、新郎新婦が退出します。その後に親族が続いて本堂を後にします。

以上が、仏前式の主な流れになります。寺院によって、作法や手順が異なる場合も当然ありますが、神社で行われる神前式と共通する部分もありますね。

念珠の授与や焼香は仏教ならではですね。

式時代は15分から30分程度と、短いのも特徴です。

 仏前式ができるお寺は限られている

今回は、あまりメジャーではないお寺での結婚式について紹介してきました。私も今回の記事を書くにあたり、初めて知ったこともたくさんありました。

注意点としては、全てのお寺で結婚式ができるわけではないということです。

たとえば、菩提寺で結婚式を希望してもたいていの場合はかなえられないでしょう。ふつうのお寺では結婚式に対応できるスタッフや設備が揃っていないからです。

仏前式を希望する場合には、ブライダル会社を通してお寺に申し込むのが一般的です。また、ブライダル会社によって、提携しているお寺が異なるため事前に確認が必要なようです。

そして、当たり前のことですがお寺の行事が優先されます。
そのため、1日の挙式数や結婚式が挙げられる時期も限られています。

お寺の行事が多い年末年始やお盆やお彼岸は、結婚式を受け入れていないそうです。
挙式できる組数自体が限られているので、今後も件数自体はさほど増えないのではないかと思っていますが、一度は参列してみたいですね。

 仏前式をきっかけにあらたなご縁が

現代では、昔に比べてお寺との関係性がうすくなりつつあります。

しかし、お寺で挙式したことをきっかけに、赤ちゃんが生まれたあとの「初参り」(御礼参り)や、七五三などのご縁につながっていくこともあると聞き、すてきなことだなと思いました。

私も、いつか仏前式にお招きいただく機会があればいいなと思います