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法律

もし認知症になったら?万が一のための『任意後見制度』とは

人生100年時代、65歳の5人に1人が認知症

高齢化が進むに従い、認知症を患う人も増加しています。
なんと、2025年には認知症患者は700万人を超え、65歳以上の5人に1人、国民の17人に1人が認知症を発症するという恐ろしい予測があります。

世界一の長寿国になった日本ですが、90歳を過ぎた人の約半数が認知症を患っているのが、下記のデータからもわかります。

65歳以上の認知症患者の推定者の推定有病率

認知症と診断されたら…

医師から認知症と診断され「意思能力がない」と判断された場合、さまざまな「法律行為」ができなくなります。

たとえば、不動産の名義変更や売買も法律行為にあたります。

「介護施設に入居するための資金を確保するために自宅を売却したい」
「すでに介護施設に入居したため、住む人がいない家を売却したい」


そんなとき、土地の所有者である人が認知症と診断されているとスムーズに売買ができなくなります。そうすると、財産はあっても現金がないという困った状態になってしまいます。

また、医師に認知症と診断されたのちに作成された遺言書も「意思能力がない」とみなされ無効になってしまいます。

不便なように見えますが、悪質な業者から不必要な不動産やリスクの高い金融資産を購入させられたり、不本意な遺産相続をしてしまわないために認知症になった方を守るための制度でもあります。

そこで今回は、もしも認知症を発症したときに財産管理を信頼できる第三者に委託できる「任意後見制度」についてご紹介します。

認知症などの人を支援する成年後見制度

認知症や精神障害などにより、判断能力が十分でなくなった人の財産管理等を支援するため設けられているのが「成年後見制度」です。

成年後見制度には、「法定後見」と「任意後見」の2種類があります。

法定後見

本人が認知症などになった場合に、親族などの関係者が家庭裁判所に申し立てて、後見人を選任してもらう制度です。


・申請者:親族など関係者

・後見人:家庭裁判所が選定する

任意後見

本人が判断能力のあるうちに、あらかじめ特定の人との間で将来、後見人になってもらう契約(「任意後見契約」)を結んでおく制度です。

・申請者:本人

・後見人:自分で後見をお願いしたい人を選べる

法廷後見を選ぶ段階では、残念ながら「判断能力がない状態」になっているため、自分の意志を反映させることができません。自分の意志よりも、代理人の判断が優先される状態です。

一方、任意後見契約は自分の意志で契約を結ぶので、契約内容についても自分の希望を実現できます。また、任意後見契約なら自分が信頼できる人を後見人に選ぶことができます。

つまり、認知症になる前の自分の意志や希望を代理人によって実現できるのが任意後見制度なのです。

「任意後見制度」は将来、認知症や障害により適切な判断ができなくなったときでも

・子どもに負担をかけたくない
・頼れる親族がいない
・自分のことは自分で決めたい

と考える人から注目を集めています。
高齢者に限らず、子供のいない方、未婚の方などが自分の将来のために任意後見制度の活用を検討する方が増えています。

任意後見契約の流れ

任意後見契約を結ぶには、契約内容を公証役場で公正証書にする必要があります。

成年後見制度では、任意後見契約の公正証書が作られると契約内容が登記され一般に公開される仕組みになっています。

ただし、任意後見契約を締結してもすぐに効力が発揮するわけではありません。
任意後見契約が開始するのは、本人の判断力の低下が認められた場合に、関係者が家庭裁判所に「任意後見監督人選申し立て」をしてからになります。

任意後見監督人とは、任意後見人がきちんと職務を行っているかを監督するための人です。

本人に判断力がないのをいいことに、財産を横領したり本人に不利な契約をしないように監督してくれます。

任意後見監督人は、任意後見人・親族などの関係者以外から選任されます。

任意後見人にだれを指名する?

任意後見人にだれを指名する?

任意後見人に資格に制限はないので、だれと契約しても構いません。
でも、自分の大切な財産を管理を任せるわけですから、信頼できる相手でないと心配ですよね。

親族に任せる場合もありますが、核家族化や少子化で頼れる親族がいない方もいらっしゃるでしょう。また、親族だからこそ頼みたくないという事情をお持ちの方もいることでしょう。

仮に信頼できる親族がいたとしても任意後見人の役割は大きなものです。さまざまな事務処理の手間がかかり、専門的な判断も必要になってきます。信頼できることと、適切な判断ができたり事務処理ができるのは別の問題なのです。

親族以外に任意後見人を選ぶなら司法書士がおすすめ

親族以外の第三者に任意後見人になってもらいたいなら、司法書などの法律知識のある専門家がおすすめです。

司法書士は、法的な手続きのプロなので後見人の職務を遂行するのに適任です。
さらに、任意後見だけでなく、財産管理委任契約、死後事務委任契約など将来の備えを万全にするためのアドバイスも受けられます。

もちろん、遺言書の作成についても相談できるので「老後の不安をまとめて相談」するのにピッタリな相手でしょう。

まとめ

世界最大の長寿国になった日本。
しかし、高齢化は認知症の問題や介護など長生きするがゆえの悩みもつきません。

「ピンピンコロリ」と亡くなるその日まで、元気でいられるのが理想ですが、現実は65歳以上の5人に1人が認知症にかかってしまうというデータがあります。

自分が認知症になったとき、悪徳な詐欺契約で財産を失ったり、適切な医療が受けられないのを避けるために、元気なうちに自分に代わって判断や手続きをしてくれる人を選べる「任意後見制度」を検討してみてはいかがでしょうか。