仏教美術から感じる浄土宗の教え私たちは、さまざまな形の美術に触れることが出来ます。絵画や彫刻物など様々な作品がありますが、それらはただ美しいだけでなく、文化や思想を通じて私たちの世界を豊かにする力を持っています。 浄土宗の教えとは仏教美術も宗派の宗教観により、さまざまに発展してきました。 浄土宗の起源浄土宗は、鎌倉時代に法然上人によって開宗(西暦1175年)された宗派です。 浄土宗の美術の特徴古くから宗教美術は、その信仰や信者の救済・修行の助けとなるのを目的に作られてきました。キリスト教の教会のステンドグラスは、まだ文字が読めない人が多かった時代にキリストさまの教えを伝えるために作られていたのは有名な話です。 仏教美術も同様に、仏教信仰の表現や極楽浄土の具現化のためにさまざまな作品が作られました。 また、仏像を作る、仏画を描くという行為自体も修行のひとつと考えられてきました。 浄土宗の仏教美術の特徴としては、阿弥陀仏や極楽浄土を表現した作品が多いことです。法然上人が活躍した平安時代から鎌倉時代にかけて大きな発展を遂げました。 代表的な作品には、平等院鳳凰堂の阿弥陀三尊像や西本願寺の阿弥陀如来像があります。 次の項では、浄土宗の美術についてお話していたいと思います。 浄土宗のご本尊に「立像」が多い理由浄土宗のお寺では、阿弥陀如来を表現した座像よりも、立像を本尊として祀ることが一般的です。 阿弥陀如来立像:鎌倉時代
浄土宗の信仰の中心「阿弥陀三尊像」阿弥陀三尊像は浄土宗の信仰の中心とも言えるものです。それでは具体的にどのようなものなのか見ていきましょう。 阿弥陀三尊像の意味阿弥陀三尊像と言えば、阿弥陀如来を本尊(中央)とし、観音菩薩(向かって右)と勢至菩薩(向かって左)を両脇侍とします。観音菩薩像は蓮の蓮台を持っているお姿で、勢至菩薩像は合掌をされているお姿であらわされていることが多いようです。また、この三尊が一体となった仏像があり、一光三尊形式と言われるものです。
観音菩薩と勢至菩薩とは?阿弥陀如来を中心に両脇に配される観音菩薩と勢至菩薩の役割をご紹介しましょう。 理想の浄土を描く浄土図浄土図は、浄土宗信者が理想とする極楽浄土を具象化したものです。 浄土図には浄土宗の教義が深く結びついています。 まとめ今回は、趣向を変えて浄土宗の仏教美術について解説してまいりました。 人が創ったものですが、そこには確かな信仰心が込められており、あたかも仏教の理想の世界が目の前に広がっているように感じることもあります。 こうした作品に触れることで、頭で理解するよりも感覚で浄土宗の教義を感じられます。 仏教美術に触れる際には、技術や技巧に感心するだけでなく、そこに込められた信仰心や表現された教えについても想いをはせていただければいいなと存じます。 |
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