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住職の日記

浄土宗の数珠の特徴について

みなさんは数珠というとどんなイメージがありますか?

最近は、アクセサリーやお守りとしてパワーストーンを連ねたブレスレットを思い浮かべる方もいるかもしれません。

数珠は仏教徒にとって重要な道具で執持物(しゅうじぶつ)です。

数珠の起源は、インドと言われています。
インドから発生した数珠は、仏教に限らず様々な宗教でも用いられています。もちろん現在私達が目にしている数珠とは異なる形となっていますが、キリスト教では「ロザリオ」、イスラム教では「タスビーフ」と言われるもので、その起源はインド由来のものです。

日本には仏教とともに伝来しており、仏像を拝んだり、お経を読むとき、又は密教での修法、念仏を称える際に手にかけて用います。

僧侶をしていると
「葬儀には数珠を持って行ったほうがいいの?」
「数珠には決まりがあるの?自分の好きなのを使ってもいい?」
など、ご質問をいただくことがあります。

今回は、よく知っているようであまり知られていない「数珠」についてお話したいと思います。

「本式数珠」と「略式数珠」の2種類がある

数珠には「本式数珠」と「略式数珠」の2種類があります。

本式数珠は特定の宗派に特化した作りとなっており、略式数珠はどの宗派の方でも使用できるように一般化されています。

正式な数珠は108玉とされています。これは煩悩の数を表していると言われています。
一方、略式数珠の場合は携帯しやすいように半分の54玉、4分の1の27玉などさまざまあります。材質もさまざまで、木製からきれいな色の天然石があります。なかには、天然石を模したプラスチック素材もあるようです。

本式数珠は宗派によって構造が違う

引用:https://pascle.net/column/article/10052

日本の仏教は伝統仏教や仏教系新興宗教を含めると多岐にわたります。
それぞれの教団ごとに、ご本尊、根本経典、お作法、さらには数珠の使い方や形状に至るまで独自の特徴を持っています。

日々の生活の中で、常に自分の宗派を意識することは少ないかもしれません。
しかし、お葬式や法事など特別な場面では、ご自分の宗派の「数珠」を使用するとよいでしょう。

みなさんが、どこかお寺の檀信徒であるならば、菩提寺の宗派を知ることは、家のルーツを理解することにもつながります。

もし、自分の宗派が明確でない場合は、一度、調べてみると良いでしょう。
宗派に合わせて「数珠」を購入する際には、ご自身が所属する宗派を確認してからお求めください。

浄土宗の数珠の特徴

浄土宗では”南無阿弥陀仏”とお名号を称えすることが推奨されています。

そのため、浄土宗では、念仏を唱えた数を数えるため、一般の檀家・信徒は「日課数珠」を持つことがすすめられています。

浄土宗の数珠は、2つの輪を交差させた独特の形状をしており、両方の輪にそれぞれ「親玉」と「主玉」があります。

一方の輪には「主玉」の間に「副玉」と呼ばれる小さな玉が入り、交互に並んでいます。
その「副玉」が入っている方の輪に、金属製の輪が大小2つと房が繋がっています。

房には、弟子玉でしだまと呼ばれる、そろばんの珠のような珠があり、これを上に引き上げることで念仏を唱えた数を数えます。

この構造は他宗には見られない独特のものです。

男性用のお数珠は「三万浄土」、女性用のお数珠は「六万浄土」とも呼ばれています。これは、念仏を唱える際に、定められた形式で数珠の玉数に沿って数えると、男性用は32,400回、女性用は64,800回唱えることが可能となるからです。

信徒様の心得として、ご法事や、お寺での法要の際には、ひとつご用意しておくとよいでしょう。

覚えておきたい数珠のマナー

数珠は大切な執持物です。そのため、数珠の取り扱いに気を付けていただきたいマナーがありますので、ご紹介します。

数珠は貸し借りしない

私達が使用する仏具はすべて檀信徒さまから寄付をしていただいたり、寄付金をもとに購入させていただいたものです。

また、その中でも、払子やお袈裟、本式念珠などは、師がそのお寺の法灯を託す意味合いもあり、その中でも特に大切にするものです。

また、個人的な数珠であっても仏さまに手を合わせたりする際に使用していたものでありますから、大げさかもしれませんが、その人の信仰を表す象徴的なものとも言えます。

大切なものとして扱い、むやみに貸し借りするのは控えましょう。

数珠は貸し借りしない

数珠は信仰心を表すとも言える大切な仏具です。

直接、置いたりせず、ハンカチの上に置く、バッグやポケットにしまうなど大切に扱い、使用後はちゃんと保管してください。

数珠を棺に入れるときは材質に注意

故人が大切にしていた数珠があれば、一緒に棺に入れてあげたいと思うものです。
しかし、ご存じのように、現代では棺に入れられるもの、素材が限られています。 材質によっては、火葬できない場合がありますので、」不安な場合は葬儀社のスタッフに確認しましょう。

「故人の数珠を引き継ぐのはよくない」とする説もあるそうですが、私はまったくそのようなことはないと思っております。

思い入れのある数珠や貴重な素材を使用している数珠などは、手入れをして次の世代へ大切に引きついでいただきたいと思います。

数珠も長年使用していると、房や金具の交換など数珠のメンテナンスが必要となる場合があります。
仕立て直しをすることで、とてもきれいな状態になりますし、故人が大切にしていた思い出の品にもなり、お念仏の信仰に入るお導きになるかもしれません。

数珠のメンテナンスは、数珠の専門店や仏具店で相談できます。

まとめ

数珠は仏教徒の信仰生活において欠かせない仏具です。

とくに浄土宗では、法然上人が「必ず念珠(数珠)を持つべきなり。…念珠を博士にて舌と手を動かすなり」とおっしゃっており、仏道修行の中でも阿弥陀仏によって定められた正定業として、法然上人の晩年は日に6万遍のお念仏をお称えになっておられました。

つまり、数珠は最も重要な仏道修行であるお念仏をお称えするうえで、欠かせないアイテムだと言える訳です。

公式LINEでお問合せいただければ、数珠選びのご相談にもお答えしております。
ぜひ、皆様も大切にできる数珠をご用意されてはいかがでしょうか。