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住職の日記

12月8日は「成道会」

12月8日はお釈迦さまが悟りをひらかれた(成道)ことを記念した日というのをご存知ですか?

法会とは、仏教の僧侶や檀信徒が仏教の教えを聞き、供養するためにあつまることです。
仏教には「三仏忌(さんぶっき)」というお釈迦さまにゆかりのある大切な忌日があります。
その三つの忌日に、宗派を問わず営まれる大切な法会のことを三大法会と呼びます。


成道会(じょうどうえ)は、お釈迦様のお誕生日を祝う花祭り(灌仏会、4月8日)や、ご命日に勤める涅槃会(2月15日)と並んで『釈迦三大方法』のひとつに数えられる行事です。

浄土宗では、お釈迦さまの涅槃にあたり
(涅槃には2つの意味がありますがこの場合の涅槃とは悟られた方がお亡くなりになることです)

仏教が開かれたこと
お念仏の教えをお伝えくださったこと

この偉業に感謝の意をこめてお釈迦さまを讃える法要をお勤めします。

成道会の由来

今から約2,500年前、インドの北にある現在のネパールの地の王族の子としてお釈迦さまが誕生されました。お釈迦さまが29歳になったころ、世の無常を感じて王族の地位を捨て、妻子と別れご出家なさいました。

そして、6年にわたり厳しい苦行を続けられました。

片足で立ちづけたり、山籠もりして何十日も断食したり過酷な苦行を続けましたが、お釈迦さまの求める答えは見つからないままでした。

苦行により体は衰弱し、心にも不安や焦りが膨らむ中で「どんなに苦行をしてもさとりを得ることはできない」と気づかれたのです。

ナイランジャナー河にたどり着いたお釈迦さまは沐浴して身を清めたあと、木陰で休んでいるところに村娘スジャータから乳粥の施しをうけました。
乳粥のおかげで体力を回復したお釈迦さまは、菩提樹の木陰で瞑想に入ります。

菩提樹の下で悪魔からのさまざまな誘惑に負けずに、坐禅修行を行いついに12月8日の暁の明星をご覧になったときに「南無仏」ととなえ、さとりを開いて仏陀になったと伝わっています。

こうして、12月8日はお釈迦さまがさとりを開いた日=仏教が生まれた日として、今日でも大切な日として位置づけられています。

成道会は意外と身近にも

成道会は宗派を問わず営まれると言いましたが、祝い方は宗派によってかなり違いが見られます。

曹洞宗や臨済宗のお寺では、お釈迦さまが座禅を組んでさとりを開いたことにちなんで12月1日から8日まで摂心会(せっしんえ)という座禅修行を行うそうです。

他にも、お釈迦さまが村娘のスジャータから乳粥をもらって元気を取り戻したのがさとりを開くことにつながったとして、12/8にお粥を振舞う習慣もあります。

仏教系の幼稚園や保育園では、牛乳を飲んだり乳粥をお供えして食べるという習慣もあるそうです。小さいころに、幼稚園で特別なお粥を食べたことがあるという方は成道会を体験されていた可能性がありますね。

また、京都にあるいくつかのお寺では、毎年12月から翌年の2月にかけて醤油などで味付けした大根を参拝者に振舞う「大根炊き(だいこだき)」という風習があります。
日時や由来は寺院によって異なりますが、無病息災や厄除けを祈願する行事として知られ、京都の冬の風物詩に数えられています。

この習わしも、12月8日の成道会に由来していると言われていますので、花祭りに比べて知名度の低い成道会ですが、実は日本の生活に深く浸透していると言えるかもしれませんね。

お釈迦さまに思いをはせてお念仏を

今回はお釈迦さまがさとりを開いた日をおまつりする『釈迦三大方法』のひとつ「成道会」をご紹介しました。

お釈迦さまはさとりを開いたときに、静かに手を合わせて「南無仏」ととなえたと伝わっています。「南無仏」とは「仏に帰依する」と言う意味です。

私たち浄土宗のお念仏「南無阿弥陀仏」も「阿弥陀仏に帰依する」という意味になります。

12月8日の成道会には、お釈迦さまのさとりに至るまでの苦難に思いをはせ、そして阿弥陀仏の救いを伝えてくださった感謝のお念仏をおとなえしましょう。