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生前整理

生前整理をはじめる前に知っておきたい4つのステップ

人生100年時代。

亡くなるその日まで、元気でいられる「ピンピンコロリ」が理想ですが、病気や老化により誰かの手を借りなくてはならない可能性の方が高いですよね。

思うように体が動かない、若いころのように適切な判断ができなくなってから身辺の整理をするのは難しいことです。

遺される家族に迷惑をかけない

元気なうちに身の回りの整理をしておく
老後を身軽に過ごす

そんな目的で、生前整理が注目されています。

生前整理というと「不要なモノを断捨離する」という、いわゆる”片づけ”をイメージするかもしれませんが、実は整理するべきものは意外とたくさんあります。

今回は、生前整理をスムーズに進めるための4つのステップをご紹介します。

1 身近な品を整理

最初にとりかかるのは、やはり身の回りから。

ふつうに生きているだけで、モノはどんどん貯まっていきます。
片づけても片づけても、スッキリしないのはモノが多すぎるからかもしれません。

持ち物を少なくすることは、あなた自身の今後の生き方を見つめ直すきっかけにもなります。また、モノがすくなくなると日々の掃除もラクになるというメリットがあります。

生前整理をすることで、遺された遺族の負担を減らすだけでなく、あなた自身がスッキリした環境で快適に過すことにもつながります。ぜひ、前向きに取り組んでいきましょう。

次に、具体的にどのように進めるとよいのかを見ていきましょう。

まずは「必要なモノ」と「不要なモノ」に仕分ける

このとき、重要になるのは「もしかしたらいつか使うかもしれない…」という判断をしないこと。できるだけ「必要」「不要」の二択で判断していきましょう。

◆必要なモノ

  • 今でもよく使っているモノ
  • 使う頻度は少ないけれど、定期的に使っているモノ
  • 思い出の品や記念品など、手放すと後悔する可能性のあるモノ
  • 自分では使わないが、利用価値があり他人に譲れるモノ

◆不要なモノ

  • 壊れているモノ
  • 1年以上使っていないモノ
  • あまりいい思い出がないモノ
  • 古すぎるモノ

まずは、上記のように自分の中で判断基準をもうけて分別を行っていきましょう。
そして、不用品はきっぱりと処分しましょう。

どうしても、悩んだり迷ったりするときには一時的に「保留」にしておきます。

でも、それでぜんぜん片付かないのは本末転倒です。

「保留」するのは、一度処分すると再度入手するのが難しい限定品や記念品、思入れの大きいものだけにしておきましょう。

少しずつでもOK!続けることがだいじ

生前整理はなにもイッキに片づけなくてもかまいません。
むしろ、一回に大量のモノを処分して疲れてしまい続かなかったり、慌てて必要なモノまで捨てて後悔することもあります。

毎日でも、毎週でも少しずつ片づけるのがおすすめです。
例えば「今日はリビングの引き出し2つ分」「クローゼットの上の部分だけ」など、小さい単位でも構いません。

「燃えるゴミの日の前日に30分だけ片づける」という習慣を実践するだけでも、1カ月もすればだいぶスッキリしてくるはずです。

プロの業者に依頼して、片づけることもできますがそれにはお金もかかります。
できるところから、少しずつご自分で取り組んでみましょう。

2 財産目録の作成

財産目録とは、あなた自身が所有している権利を含めた財産を可視化するための表です。
この表には、資産だけでなく未払いの税金や借金なども一緒に記載します。

財産目録を作成しておかないと、遺された家族が手間のかかる財産調査を行い、目録を作成することになってしまいます。

相続人の負担を減らすために、現金・預貯金・不動産・証券・金属・骨董品…など把握できる範囲の財産を目録にまとめておきましょう。

遺産分割を行う際には、相続人全員で遺産分割協議をするのが基本です。その際に、財産の量や種類、保存場所がわからないと「だれかが隠しているのでは?」といらぬ疑惑を生じさせ、親族間のトラブルになる恐れもあります。

財産目録の作成は、残される大切な人たちに余計な心労をかけないために欠かせないものです。

その他にも、財産目録は死後だけでなく万が一あなたが認知症になった場合に、財産を適切に管理するためにも役立ちます。

判断がしっかりできる今のうちから、財産をまとめるための市販ノートにまとめたり、弁護士などの専門家に相談するなどしておきましょう。

3 遺言書の作成

財産目録を作成したら、遺言書も作っておくと安心です。
遺言書は必ず作成しなければならないものではなく、遺言書がない場合は法に乗っ取り分配されます。

しかし、分配に対して希望がある場合は作成が必要です。

正式に書かれた遺言書には法的効力があるため、自分が望むように相続をしたい場合は遺言書に財産に関する希望を残しておきましょう。

遺言書の書き方には、下記の3種類の方法があります。

・自筆証書遺言
自分で全文を作成・押印する

・秘密証書遺言
自分で文書を作成した後、2人の立会人と共に公証役場に赴いて公証人に遺言書の存在を認証してもらう

・公正証書遺言
2人以上の立会いのもと、公証人が遺言者から遺言内容を聞き取って作成する

知らない方も多いかもしれませんが、遺言書は決められた書式で書かないと無効になる可能性があります。

自信がない場合は作成からチェック、保管まで任せられる「公正証書遺言」がおすすめです。

4 エンディングノートの執筆

エンディングノートとはご自身が亡くなった後の希望やメッセージを家族に残すためのノートです。

財産や相続についての希望は遺言書に記すのに対し

  • 臓器提供の意思表示
  • 希望する葬儀の形式
  • 死後に連絡してほしい友人の連絡先
  • など、個人的なお願い事や希望を書き記します。

遺言書とは違って法的効力はありませんので、書かれている希望が必ず実現するとは限りません。しかし、あなたの本心を書き留めておくことに作成する意味があります。

作成書式や内容に決まりがないため、気軽に作成することができます。
お気に入りのノートやパソコンで自作したり、市販のエンディングノートを使ったり、記録する媒体・形式を選ばずに書けるのが特徴です。


エンディングノートの作成はご自身のための作業でもあります。

「これから自分はどのように生きていきたいか」
「自分が他界した後、大切な人たちにどのように過ごしていってもらいたいか」

このような希望を余さず書き残しておくことでこれからの人生の目標が明確になり、これからの生活がより充実したものになるはずです。

エンディングノートに向き合うことで

  • 人生で達成したいこと
  • 元気なうちに会っておきたい人
  • 誰かに伝えておくべきこと

などが明確になり日々やるべきこと・目的を自覚し、生活が充実してきたという話もよくあります。

ぜひ、前向きな気持ちでエンディングノートに記入していってください。

まとめ

生前整理でやっておきたいことは、多岐にわたります。
すべてを一度にしようと思うと、途中で息切れして疲れてしまいます。

今後の人生を快適に過ごすためにはどうするか
自分がこの世から去ったあと大切な人に残したいものはなにか

を考えながら、少しずつ進めていきましょう。

スムーズに生前整理を進めるために、今回ご紹介した4ステップを思い出してください。

1 身近な品を整理
まずは不用品を処分し、大切なモノだけを残す作業

2 財産目録の作成
大切なモノの中から財産を表に記す

3 遺言書の作成
1・2の作業を経て、必要であれば遺言書を作成する

4 エンディングノートの執筆
死後の希望、家族や大切な人に残したいメッセージを記録しておく

物事が整理されていない状態で、遺言書を作成しようとしたり、エンディングノートを執筆しても途中で躓いてしまいます。

まずは、身辺を整理し、自分の財産を把握するところからスタートしてみましょう。

生前整理に取り組むためのヒントになれば幸いです。