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住職の日記

酷暑を越えて──仙台の彼岸花が教えてくれる祈り

今年の夏は、記録的な猛暑でした。  

外出するだけでも体にこたえる暑さに、多くの方が「こんな夏は初めてだ」と感じられたのではないでしょうか。街路樹もぐったりしているように見え、毎日早く涼しい季節になってほしいと思って過ごしていました。

しかし、不思議なもので、秋分が近づく頃になると、道端にひっそりと赤い花が顔を出し始めます。

その姿を見ると、「今年も彼岸がやってきたのだな」と心が落ち着くのです。そんな酷暑の夏を過ぎ、少しずつ朝晩に秋の気配が感じられるようになる頃、彼岸花が静かに姿を見せ始めます。

「彼岸の頃に咲くから彼岸花」。

その名の通り、毎年お彼岸の前後に花を開き、私たちの目を楽しませてくれる存在です。ところが近年は、温暖化や天候不順の影響で咲く時期が遅れたり早まったりすることもあります。それでも赤々とした花が咲き揃う姿に、人は自然の巡りとご先祖様への祈りを重ねてきました。

 仙台近郊の彼岸花の名所

仙台近郊では、彼岸花は9月中旬から下旬が見頃です。  

柴田町の船岡城址公園は県内でも有名で、毎年「しばた曼珠沙華まつり」が開かれます。仙台市内でも広瀬川沿いを歩くと赤い群生に出会えますし、名取市の閖上の河川敷も知られたスポットです。少し足を伸ばせば、角田市や岩沼市でも田んぼのあぜ道に点々と咲く彼岸花を楽しめます。

お墓参りの帰り道に赤い花を見つけると、「ご先祖さまが迎えてくださっている」と感じる方も少なくありません。自然の中でふと目に入る彼岸花は、心を仏さまに向けるきっかけをくれる花ですよね。

特に仙台のように四季の変化がはっきりした土地では、季節の移ろいと供養の心は切り離せないものだと感じます。

 彼岸花にも酷暑の影響が…

昨年も猛暑で彼岸花の開花が1週間ほど遅れましたが、今年も同じように遅れると予想されています。自然は私たちの思い通りにはなりません。けれど、それも仏教で説かれる「無常」のあらわれです。  

咲くのが早くても遅くても、花は必ず咲いてくれる。その姿に「苦しい夏を越えれば、必ずやすらぎの秋が来る」と励まされるように思います。酷暑に耐えて咲く花は、私たちにとって希望のしるしなのです。

とある方が「彼岸花は遅れても必ず咲くから、自分も焦らずに生きたい」と話してくださいました。花を前にした一言に、仏さまの教えがそのまま映し出されているようでした。私自身もその言葉に救われ、日々の慌ただしさの中で立ち止まるきっかけをいただきました。

 秋彼岸の過ごし方と供養の心

お彼岸は、ご先祖に感謝を伝える大切な機会です。ただし、今年のように暑さが長引く中では、体調を無理しないことが一番です。朝夕の涼しい時間にお墓参りをしたり、お仏壇にお線香をあげるだけでも十分な供養になります。  

大切なのは「今ここでできることを、心を込めて行うこと」です。ご先祖に「ありがとう」と声をかける、家族と一緒に思い出を語る──それだけで供養の心はしっかりと届きます。

「暑さで体がつらくて、今年はお墓参りに行けそうにありません」とご相談をくださる方もありますが、そのお気持ちだけで十分です。無理をせず、心の中で手を合わせるだけでも、立派な供養になるのです。

  令和七年度 秋彼岸法要のご案内

酷暑を越えて、それでも律義に咲く彼岸花。その姿は、自然の力強さと同時に、命の儚さを映しています。咲く時期が少しずれても、必ず花は咲く──そこに私たちは「無常」の中にある確かさを見つけます。  

彼岸花を目にするとき、ただ「きれいだな」と思うだけでなく、ご先祖や自然とのつながりを感じ、今生かされていることに感謝できるのではないでしょうか。

十念寺では、下記の通り秋彼岸の法要を行います。涼しい本堂で、皆さまと共に、先祖を偲び、感謝の心を捧げるひとときにしたいと思います。

  • 日程:9月23日(火)午前11時より  
  • 会場:十念寺本堂  
  • 定員:20名程度(事前予約制)  
  • お布施:お気持ち程度(3千〜5千円)

どなたでも、ご参加できます。ぜひ、ご家族お誘いの上ご参加ください。  

ご参加を希望される方は、メール・LINE・お電話でご予約ください。