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住職の日記

お盆の歴史と楽しみ方

観測史上最大の暑い夏と言われている今年の夏も、お盆の季節が近づいてきました。この時期、私たちは夏の楽しみを求めると同時に、ご先祖様との対話のひとときで心を静める時間でもあります。

今回はまもなくやってくるお盆についてのお話です。

お盆の由来

サンスクリット語の『ウラバンナ』を漢字で音写した『盂蘭盆会(うらぼんえ)』を略してお盆と呼ばれるようになりました。

サンスクリット語のウラバンナの意味は「逆さ吊り」。 「逆さまに釣り下げられるような苦しみにあっている人を救う法要」という意味です。

お盆の行事はお釈迦さまの弟子の一人、目連尊者(もくれんそんじゃ)が母を救う話に由来しています。目連尊者はある時、神通力を用いて亡くなった母親が餓鬼道に堕ち、逆さ吊りの苦しみを受けていることを知りました。そこで、母親を救う方法をお釈迦様に尋ねました。お釈迦様は「夏の修行が終わる7月15日に僧侶を招いて多くの供物を捧げれば、母親を救うことができるだろう」と教えました。目連尊者がこの教えに従って供養を行った結果、その功徳によって母親は極楽往生を遂げたと伝わっています。

それ以来、旧暦の7月15日は父母や先祖に報恩感謝をささげ、供養を行う重要な日となったそうです。 現在ではお盆は、先祖の霊が帰ってくる日ということで、親戚一同が集まってお迎えし供養します。

お盆の準備と供養

一般的にお盆には特別なお供え物を用意し、仏壇やお墓をきれいに掃除して迎火を焚いてご先祖様をお迎えします。他にも盆踊りや灯籠流しなどの行事を行う地域もありますね。

小さな子どもにとっても、お盆の準備のお手伝いや盆踊りは楽しい経験です。こうした行事を通して、大人たちが語るご先祖さまのエピソードを通じて自分自身のルーツについて考えるきっかけにもなります。

こうした行事を通じて、ご先祖様とのつながりを感じ、感謝の気持ちを新たにできることでしょう。

盆踊りの起源

お盆の時期になると、町内の広場や近所のお寺に櫓を立てて集まって踊る盆踊り。かき氷や綿あめ、金魚すくいなどの屋台と共に楽しんだ記憶がある方も多いと思います。夏休み中に会う機会が減っていた同級生に会えるのも楽しみでしたね。

盆踊りが文献に初めて登場するのは室町時代です。平安時代に空也上人が始めた踊念仏が、時を経て民間の風習と融合し、念仏踊りとして広まりました。そして、この踊りが盂蘭盆会の行事と結びつき、精霊を迎え、亡くなった人々を供養するための重要な行事として定着しました。

初期の盆踊りは死者の供養のために行われていました。新盆を迎える家には近隣の人々が集まり、家の前で輪になって踊りました。家の人々は踊り手にごちそうを振る舞い、もてなしました。当時の人々は、死者が盆の時期に家に戻ってくると信じており、そのため、踊り手は頬被りをして顔を隠し、死者が生き返った姿を演じることもありました。

一方で、娯楽的要素や芸術的要素も高まり、その土地の民謡などに合わせて踊るように変化していったと考えられます。

仙台で踊る盆踊りの曲と言えば「七夕音頭」が有名ですが、現代の盆踊りではアニメソングから歌謡曲なども盆踊り会場で踊られています。

懐かしい曲と新しい曲で踊ることで、世代を超えた交流が生まれるとして好評のようです。

盆踊り文化を再び「やりましょう盆踊り」

2011年に発生した東日本大震災の翌年から宮城県各地で「盆踊り」を開催する被災地の復興・地域コミュニティ支援のプロジェクトが「やりましょう盆踊り」です。

「やりましょう盆踊り」は被災地で「盆踊り」開催を通し、まちの再構築の一助となることを目的に震災の翌年から始まりました。

盆踊りの開催だけでなく、踊りてボランティアの養成練習会なども行われています。

こうした取り組みもあり、仙台市内の各地で盆踊りの開催が増えてきています。

盆踊りの開催日はWEBで検索できます。ちょうど夏休みでもあるので、ご家族でお近くの盆踊りに参加して夏の思い出を作るのもおすすめです。

お盆の時期も楽しく過ごす

お盆には帰省ラッシュの中で移動したり、いつもは会わない親戚と顔を合わせたりと億劫に感じることもあるかもしれません。 しかし、家族や親族で過ごしご先祖様に想いを馳せる時間を持つことはとてもよいことだと思います。僧侶の身としては、「お盆にはご先祖さまに感謝して、しっかり供養を…」と言いたくなりますが、一方で現世に生きている方に楽しんでいただきたいとも思います。

お盆に一時的に帰っていらっしゃるご先祖様も、自分の子どもや孫、子孫が笑顔でいてくれるのが一番うれしいのではないでしょうか。 今年のお盆は、ご先祖様への一番のお供えものは家族の笑顔と思って楽しくお過ごしください。