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涅槃会とは?意味と由来をやさしく解説|「安心の境地」に学ぶ仏教の教え

あっという間に一月が過ぎ、二月を迎えました。
「一月往ぬる二月逃げる三月去る」と昔から言われるように、年明けからの三か月は、本当に慌ただしく過ぎていきます。

そんな日々の中で、二月十五日には仏教の大切な行事「涅槃会(ねはんえ)」があります。

お釈迦さまが悟りを開かれた十二月八日の「成道会」、お誕生日である四月八日の「花まつり」と並ぶ、三仏忌のひとつです。

今回は、この涅槃会を通して、「涅槃とは何か」ということを、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

お釈迦さまが最期に伝えられたこと

米山宮法源寺(浄土宗) 涅槃図

涅槃会は、お釈迦さまがこの世での生涯を終えられた日を偲ぶ法要です。

紀元前五百年頃、お釈迦さまは八十歳でクシナガラという地にて入滅されました。菩提樹の下で悟りを開かれてから約四十五年のあいだ、人々に教えを説きながら、弟子たちとともに各地を歩まれてきたのです。

ご自身の死期を悟られたお釈迦さまは、三か月後に入滅されることを弟子たちに告げられました。そして最後に、次の言葉を残されたと伝えられています。

「比丘たちよ、今こそおまえたちに告げよう。諸行は滅びゆく。怠ることなく努めよ」

この世のすべては移り変わっていく。
だからこそ、目の前の一日一日を大切にし、怠ることなく歩みなさいという教えです。

涅槃会では、お釈迦さまが沙羅双樹のもとで、頭を北に、顔を西に向けて横たわられた姿を描いた「涅槃図」を掲げます。

そこには弟子たちだけでなく、菩薩さまや神々、さらには動物や虫までもが集い、お釈迦さまの最期を悲しむ姿が描かれています。

「涅槃」とは何か死ではなく、安心の境地

ところで、「涅槃」という言葉に、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。

亡くなること、死そのものを指す言葉だと思われている方も多いかもしれません。

しかし、涅槃の本来の意味は、少し違います。

涅槃とは、サンスクリット語の「ニルヴァーナ」を音写した言葉で、「吹き消す」「消滅する」という意味を持っています。

では、何を吹き消すのでしょうか。

それは、「煩悩の火」です。

私たちは日々、欲望や執着、怒りや不安といった煩悩に心を揺さぶられながら生きています。
もっと認められたい、失いたくない、なぜ自分だけがこんな思いをするのか。
そうした思いが重なり、知らず知らずのうちに心を疲れさせてしまいます。

涅槃とは、そうした煩悩の炎が静まり、心が穏やかに落ち着いた状態を指します。
お釈迦さまは悟りを開かれた時点で、すでに心の中の煩悩を離れておられました。

そして八十歳で肉体としての命を終えられた時、身体的な苦しみからも解放され、完全な安らぎの境地に入られた。

それが「入滅」と呼ばれる出来事です。

涅槃会は、お釈迦さまが究極の安心に至られたことを偲ぶ日でもあります。

現代を生きる私たちにとっての涅槃

お釈迦さまの時代から二千五百年が過ぎました。
現代を生きる私たちもまた、多くの不安や悩みを抱えています。

老いや病への不安、大切な人を失う悲しみ、将来への心配。
先の見えない時代だからこそ、心が休まらないと感じている方も多いのではないでしょうか。

私自身、東日本大震災を経験し、ボランティア活動を通じて多くの方と関わる中で、人を見送ること、そして残された者として何ができるのかを深く考えるようになりました。

その問いを抱えたまま僧侶となり、十念寺を開いた今も、その思いは変わらず胸にあります。

十念寺が大切にしているのは、誰もが安心して立ち寄れる場所であることです。
お寺は特別な人だけのものではありません。
不安や悩みを抱えたときに、ふと立ち寄り、心を休めることのできる場所でありたいと願っています。

浄土宗では、阿弥陀さまの極楽浄土は西方にあると説かれています。
お釈迦さまが入滅の際に顔を西に向けられたのも、その極楽浄土を向かれたのだと言われています。

阿弥陀さまは、「南無阿弥陀仏」と念仏を称えるすべての人を、必ず極楽浄土へ迎え入れるという誓いを立てておられます。

それは、どのような人であっても見捨てられることはないという、揺るぎない安心の教えです。

涅槃会が私たちに問いかけるもの

涅槃会は、お釈迦さまを偲ぶだけの日ではありません。私たち自身が、「安心とは何か」「心穏やかに生きるとは何か」を考える日でもあるのです。

終活のこと、供養のこと、家族のこと、これからの人生のこと。

「お寺は敷居が高い」「こんなこと相談していいのだろうか」と思われる方も多いかもしれません。

でも、どんな小さなことでも構いません。不安や悩みを一人で抱え込まず、どうぞ気軽にお話しいただければと思います。

十念寺では公式LINEを通じて、住職の私が直接お返事をしています。お寺に来るのはちょっと…という方も、まずはLINEでお気軽にご相談ください。

この二月十五日、お釈迦さまが辿り着かれた「安心の境地」に思いを馳せながら、皆さんご自身の心の安らぎについて、少し立ち止まって考えてみていただけたら嬉しいです。


合掌