022-702-8651
受付時間 9:00~18:00

zyunenzi@gmail.com

住職の日記

負担を減らす檀家制度の見直し──友の会という新しいつながりのかたち

「檀家」という言葉を耳にすると、どのような印象をお持ちでしょうか?

お寺とのご縁を表す言葉である一方で、

「経済的な負担が大きそう」
「行事に必ず参加しなければならない」


という不安や、時には重たい義務感を感じる方も少なくありません。

かつては生活と地域社会を支える大切な仕組みだった檀家制度も、現代の暮らしの変化とともに形を変えざるを得なくなっています。

仙台のように都市部と地方が交わる地域では、特に「檀家にならないとお寺と関われないのか?」という声を聞くことがあります。

そうした思いに応える形で、十念寺では「友の会」という新しい仕組みを始めました。

今回は、従来の檀家制度を見直しながら、友の会という形がどのように負担を軽くし、皆さまに安心してお寺とつながっていただけるのかをご紹介したいと思います。

 生活が変われば、お寺との関わり方も変わる

檀家制度は、江戸時代に広まった歴史ある仕組みです。
当時は寺請制度と結びつき、戸籍や身分の証明の役割も担っていました。お寺は人々の暮らしを守る拠点であり、檀家になることは「地域の一員である」という大切な証でもあったのです。

しかし、時代が移り変わるなかで、私たちの生活スタイルも大きく変化しました。
核家族化や都市への移住が進み、かつてのように「家を中心にお寺とつながる」ことが難しい方も増えています。

たとえば、会社員として働く方にとっては、平日の日中に行われる法要や行事に参加することが簡単ではありません。また、就職や転勤でお墓から離れた土地に暮らす方にとっては、菩提寺に足を運ぶ機会そのものが少なくなりがちです。

実際に「寄付や会費の負担が心配」「行事に必ず出なければならないと思うと気が重い」という声もいただきます。そうしたお気持ちはとても自然なことで、決して特別な悩みではありません。

檀家制度は長い歴史を通じて人々の生活を支えてきた大切な仕組みですが、今の暮らしにそのまま当てはめると、無理が生じてしまうこともあるのです。

大切なのは、その時代に合った形でお寺とのご縁を結び直していくことだと思います。

 十念寺の友の会という選択肢

そこで十念寺では、「檀家になるか、ならないか」の二択ではなく、もっと柔らかいつながり方を提案したいと考えました。それが「十念寺友の会」です。

友の会は、「ご縁を持ちたい」と思ってくださる方であれば、どなたでも気軽に関わっていただける仕組みです。檀家制度のように強制的な義務や経済的な負担を伴わず、安心してお寺と関われます。「お寺とつながりたいけれど、従来の檀家制度には抵抗がある」という方にこそ知っていただきたい仕組みです。

 一般会員と特別会員の違い

十念寺の友の会は、「お寺と関わりたいけれど、従来の檀家のように義務や負担を背負うのは難しい」という方のために生まれました。

無理のない範囲でご縁をつなげるように、二つの会員区分をご用意しました。
生活の状況や気持ちに合わせて選んでいただけます。

どちらの会員も大切な仲間であり、強い義務感ではなく「お寺とつながりたい」というお気持ちを尊重するのが友の会の特徴です。

無理のないご縁を大切に

私たちの暮らしは、時代や環境によって少しずつ形を変えていきます。
働き方が変わり、家族のあり方が変わり、住む場所も変わる。昨日と今日が同じように見えても、よく考えれば常に変化の中にあるのが私たちの生活です。

仏教では、こうした「変わりゆくもの」を「無常」と表現します。
すべてのものは移り変わり、同じ形を保つことはありません。お寺と人との関わり方もまた同じで、時代や生活の変化に合わせて、自然に姿を変えていくものだと思います。

大切なのは「お念仏を共にする」という根本のご縁です。
制度や形は、そのためのきっかけに過ぎません。負担を軽くし、自由度を高めることは、かえって多くの方が気持ちを寄せやすくなるのではないでしょうか。

「お墓を守る立場でなくても、お寺に足を運んでいいのだろうか」  

「檀家ではない自分も、仏さまに手を合わせていいのだろうか」  

そんな不安を抱く必要はありません。友の会は、そうした方々に安心していただける居場所でもあります。

 おわりに

従来の檀家制度は長い歴史の中で社会を支えてきました。しかし今の時代には、もっと軽やかに、もっと柔軟につながれる仕組みが必要です。十念寺の友の会は、檀家にならなくても安心してお寺と関われる新しい形です。

仙台で菩提寺を探している方、従来の檀家制度に疑問を感じている方、お寺と緩やかにつながりたいと願う方に、ぜひこの友の会を知っていただければと思います。

無理のないご縁の中で、仏さまに手を合わせ、お念仏をとなえる。そのひとときが、きっと日々の心を支える力になることでしょう。どうぞお気軽にご相談ください。